学生特例で国民年金保険料の免除を受けていた方に向けて、追納することのメリットをまとめました。
当初、私は年金保険料の追納は不要だと考えていました。
しかし、学生特例の免除期間である10年目が迫ってきた際に、追納するメリットを考えてみたところ想像以上に年金追納による恩恵が大きいことに気づきました。
そこで、本記事では以下の3点を中心にご紹介しますので、年金を追納するか迷っている方の参考になれば幸いです。
- 国民年金保険料(学生特例)の基礎知識
- 年金保険料追納のメリット
- 筆者の年金追納計画
1. 年金追納の基礎知識
1-1. 自分の年金納付状況を確認しよう
日本年金機構のHPより、ご自身の年金記録を確認することができます。
私の場合、学生特例を5年間使用していたことを確認できました。
国民年金の追納可能月数が60ヶ月なので、合計96万円の追納が可能となります。
1-2. 国民年金保険料の追納期日
学生納付特例制度を使用していた場合、「10年以内」であれば追納が可能となります。
具体的には、20歳4月免除分は30歳4月末まで追納可能です。
3年度目以降に保険料を追納する場合、保険料は経過期間に応じて割増されます。
割増された額(令和5年度追納分)
※令和3,4年分は割増されていない保険料となります。
尚、割増額は免除期間に応じて0.1~2%程度となります。金額的には数十円~数百円です。
2. 学生時代の年金を追納するメリット3選
2-1. メリット①:将来の年金増額
年金保険料を追納するので、将来の年金受給額が増えます。具体的には、
1年分の年金保険料を追納すれば、将来の年金は約2万¥/年増加(令和5年の基準額)
納税額以上の年金を受給できるの?
私の場合だと、追納可能金額は約96万円でしたので、10年間年金を受給することで支払い分をペイすることができます。
但し、将来の年金受給額は不明であり、インフレ率なども考慮すると、単純に10年で元が取れるという考えは甘いかもしれません。
2-2. メリット②:節税効果あり
国民年金保険料の追納分は、全額社会保険料控除の対象となります。
社会保険料控除の対象期間は、国民年金保険の追納を行った日が該当する年です。
尚、控除を受けるには、年末調整や確定申告が必要になりますので、忘れず実施しましょう。
具体的にどのくらい節税できるの?
課税所得330万円前後の人が、約96万円(追納可能期間60ヶ月)を追納すれば、下表の節税効果があります。
尚、課税所得195万円~695万円以外の方は、下表より所得税を確認し、節税額を計算してみてください。
所得税の税率
節税ポイントのまとめ
- 節税効果は課税所得(年収)によって異なる。
- 課税所得と年収は別物。課税所得330万円の目安は年収約650万円。
- 追納により所得税率を下げられれば、より節税効果は高い。
2-3. メリット③:保育園料を下げれる
0~2歳児クラスの保育園料は夫婦の住民税(市民)で決まります。※3歳児クラス以降は無償
住民税(市民)は市民税決定通知書の「市民税→所得割増⑥」で確認ができます。本通知書は毎年6月頃に送付されるので、1年間は捨てないように保管しておきましょう。
夫婦の市民税(所得割額)を確認できれば、ご自身の市町村の保育園料を確認してみましょう。
下表は立川市のものになりますが、所得割額に応じて細かく保育園料が定められています。
所得割額(市民税)を下げ階層区分を下げることで、保育園料を月数千円下げることができる。
この所得割額(市民税)を下げる1つの方法として、国民年金の追納を活用します。
ここで先程のメリット②節税効果が保育園料に効いてくるわけです。
ほとんどの場合、収入によらず市民税は6%で一定なので、約96万円(追納可能期間60ヶ月)を追納する場合、所得割額(市民税)を5.7万円(96万×0.06)も下げることができます。メリット②で記載していた青枠部が該当箇所となります。
所得割額(市民税)が5.7万円も下がると、保育園料が決定する階層区分を3段階くらい下げることができます。よって、保育園料は月5,000円~10,000円程下がることになります。(※階層によって異なる)
2-4. 年金追納メリットのまとめ
これまでご説明した年金追納に関するメリット①~③をまとめます。
- 1年分の年金保険料を追納すれば、将来の年金が約2万¥/年増加する
- 追納額全額に対して、住民税(10%)と所得税(課税所得に応じた税率)の控除を得られるため、節税効果がある
- 節税効果により住民税(市民税:6%)が下がるため、保育園料が決定する階層区分が下がり、毎月の保育園料が下がる
3. どのタイミングで年金を追納するのがオススメ?
3-1. 年金追納のおすすめ時期3選
年金追納のメリットを最大に受けたい人は、以下のタイミングがおすすめです。
- 所得税率が高い時
- 追納により所得税率を下げれる時
- 子どもを0~2歳児クラスの保育園に入れる時
年金免除期間に応じて追納時は割増金(0.1~2.0%程度)が必要になりますが、上記のタイミングで追納することで、それ以上のメリットを受けることができます。
3-2. いつ年金を追納すれば保育園料が下がる?
0~2歳児クラスの保育園料は夫婦の住民税(市民)で決まります。※3歳児クラス以降は無償
保育園料はいつの住民税(市民)で決まるのでしょうか?
所得(住民税に関与)と保育園料の関係をグラフに示しました。
お子さんをどのタイミングで入園させたいかで、年金追納のタイミングを決めるかが重要となります。必ず希望のタイミングで入園できるかは分からないので難しいところですが。。。
3-3. 最適な年金追納のタイミングを考えてみた!
我が家は以下のタイミングで追納することにしました。
スケジュール
- 23年8月:出産
- 24年8月:入園予定
- 24年1~12月:年金追納予定
なぜマネ家は24年1~12月に年金追納する予定なのか?
- 24年度中(0歳児クラス)に入園できない可能性がある。
- 23年所得は少ない。妻の産休・育休期間、夫の育休期間、定期昇給前、子どもの扶養手当受給前、医療費控除使用可などが主な要因。
- 24年に課税所得330万円に到達する可能性がある。
- 24年4月で初回学生特例による免除から10年が経過する。
4. まとめ
今回は国民年金保険料(学生特例)の追納に関するメリットについて、詳しくご紹介しました。
- 1年分の年金保険料を追納すれば、将来の年金が約2万¥/年増加する
- 追納額全額に対して、住民税(10%)と所得税(課税所得に応じた税率)の控除を得られるため、節税効果がある
- 節税効果により住民税(市民税:6%)が下がるため、保育園料が決定する階層区分が下がり、毎月の保育園料が下がる
国民年金学生特例の免除分が残っていると、正直最初は追納することを負担に感じていました。
しかし、この追納可能額をうまく使用することで、所得税率を下げたり、保育園料を下げることが可能になります。
国民年金(学生特例)免除は最強の武器になりますね!
私自身は追納のメリットが大きいと感じたので、国民年金を追納することを決意しました。
考え方やタイミングは人それぞれです。今回の内容が皆様の追納判断材料になれば幸いです。
5. Q&A
- 国民年金追納期日の10年を超過した場合、もう追納はできないでしょうか?
-
追納することはできません。
但し、60~65歳で国民年金の任意加入が可能ですが、節税効果などが低くなる可能性が高いです。
- 保育園料を安くする方法は、年金追納以外にありますか?
-
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